就職する際にはやりたいこと(職務内容や業界)が一番大事だった。実際に入社してみると自分のやりたいことができているか?よりも「自分が活躍できているか?」の方が大事に感じた。職場でうまくいかないときは人間関係が何よりも大事に。そして子どもができた友人は皆「時間が一番大事」と言う。状況によって優先順位が変わるのは自然なことだと受け入れよう。日本も転職が増えてきている事実もあるので、その時々の優先順位の通りに活動すれば良い。
・最初は誰でもやりたいことから
初めて働く時にはどのくらいの時間をどんな人たちと一緒に働くか?が想像できない。これは仕方ないことだ。学生アルバイトと正社員の間は大きな隔たりがあるし、何を考えてどんな仕事をしているのか?という具体的なところは守秘義務の観点から会社側も教えることができない。
時間に関してもそうだ。忙しい時は忙しいし、部署による。こんな回答されるとノーヒントだ。何も参考にならないため勤務時間はあてにできないし、ブラックな職場の人は面接に出てこない(出てこれない)。OB訪問でもあまり自社に不利になることを言うのはNGだし、先輩社員との座談会など本音が出てくるはずはない。
最後に年収。これは就職四季報や口コミサイトをしっかりチェックするとわかってくる。年功序列の社会なので単純に歳を取るとお金がもらえるが20代は大企業でも年収が低い。一般的な話の情報ではあるものの唯一客観的な指標として考えることはできる。しかし、今は同世代と比べると高い給与水準かもしれないが、上が詰まっており全然昇格できない。ポストがないから管理職になって楽になれるのは40代半ばになってから。など将来を危うんでいる若者はたくさんいる。(これは退職理由の一つにもなっている。説明を受け、期待していた「普通プラン」がもう狭き門になっている)
以上により、やりたいことくらいしかイメージできない。暖簾に腕押しのような回答を人事からされるので具体的に実現したいことは職務内容くらいになる。
・入社後のギャップ
入ってみると大企業であればあるほど業務が細分化されており、何をやっているのか分かりづらい。言葉を変えるとやりがいの実感ができないのだ。こうなると自然と辞めたくなる。「就職先であれだけ聞かれたやりたいこと、を持って入社したにも関わらずこんな仕事を・・・」となってしまうのだ。それに定期的な人事異動もある。たまたまやりたいことができている人もある日突然はずされてしまうこともあるし、今の職場はやりたくない仕事だとしても次を選べない。要するに自分がどうすることもできないサイコロを振られて次が決まる。
面接であれだけ聞かれたやりたいこと、御社を第一志望に決めた理由が入社後に意味がなくなる。会社側が完全に無視して仕事を割り振る。ここで折れるのは自然なことだし、転職を考えるのは当然だと思う。
もっときついのは人間関係が悪くなってしまうこと。入社前にこの情報がわかっていれば絶対に回避したぞ・・・と思う人は多いだろう。実際に入ると性格が終わっている者も多いし、社内いじめを嬉々としてやってくる者もいる。大学生の方がよっぽど大人である。人間関係が悪くなるとメンタルや鬱の原因にもなるので、あまりにキツければとっとと辞めるのが正解。周りの人間は絶対に変わらないので異常な職場を抜け出すための転職や退職が必要になる。
働き始めてもやりたいことは決められないし、それよりも人間関係の方が大事になる。
・仕事に慣れてきた後
仕事の慣れてくる20代後半や30代前半くらいになると私生活の環境が変わってくる。結婚して子供を作る人。マイホームを立てる人など様々だ。特に赤ちゃんができた家庭は生活様式がガラッと変わる。家に帰ってきてからも休日も育児と家事で手一杯だ。仕事と違って家庭では自分の代わりが効かない。そのため労働時間を短くして早く帰って子どもと遊ぶ。この生活を目指すようになる。仕事に慣れた、という前提はあるものの子どもと過ごすために残業の少ない部署や会社を希望するようになるのだ。
子どもが小さければまとまったお金はさほど必要ない。教育費は中学から高校にかけて増え続け、大学の仕送りがピーク。地方でも子どもが18歳になるまでにまとまったお金が必要だ。
・子どもが大きくなってきたら
赤ん坊の頃はお金を使う機会がそれほど多くない。金額もたかが知れている。しかし、大学生活を一人暮らしで〜と考えると一気にシビアになる。地方に大学はあるもののメインは国立大学。そこそこに勉強しないと入れないし、子どもの素養や努力に大きく左右される。
偏差値はそんなに高くないが、低くもない。苦手教科があるものの得意教科は強いため頑張れば早慶を狙える。こうなると東京での1人くらしがほぼ確定する。そう、私立文系専願コースだ。学費に限って言えば慶應大学は国立大とそこまで変わらない金額だし、滑り止めでMARCHも選べる。だが一番大きいのは東京で生活する費用。20代の社会人が東京で暮らすためには家賃補助がないとキツい。ただでさえコストが嵩む生活費を基本的には無収入である学生が支払うのは困難だ。
女性であればパパ活をして稼ぐこともできるが、男性は厳しい。普通に働いていても東京で一人暮らしをさせるのは「贅沢」なのだ。
冷静に考えれば考えるほど金が必要だ。そのためには給与アップが欠かせない。上のポストが空いていないのであれば他社にポスト付きで入社した方が楽かも・・・。そう思うのも当たり前だ。子育ても手がかかる時期は終えるとお金のことを考える。今までは時間が最優先であった働き方だが、今度は金が必要になる。
・子どもが手を離れた後
子どもも大学を卒業するくらいになると、今度は自分の老後をなんとかしなければならない。老後に必要な資産は2000万円だ。これは年金を除いているため、貯金だと考えれば良いだろう。子ども1人を大学へ出すと800万円(塾や受験費用は0として)。2人だと1600万円。2人とも大学院まで行くなら2000万円だ。
教育費で2000万円、自分の老後で2000万円。合計で4000万円を用意しなければならない。マイホームを買っているとここまでお金を貯めるのは難しすぎる。そのため定年退職した後も働く、ということが現実味を帯びてくる。アルバイトは生活資金くらいにしかならない。では独立するか?となると金を手に入れるために独立のための時間が必要になる。
アルバイトで良いのであれば今の会社で再雇用が現実的か。金か時間か選んでプランニングする。
まとめ
20代:やりたいこと≧人間関係>労働時間>給与
子どもができると:労働時間≧人間関係>給与>やりたいこと
子どもが大学に入るまで:給与≧人間関係>労働時間>やりたいこと
子どもが大学を卒業:労働時間=給与>人間関係>やりたいこと
こんなところか。その時々で優先順位は変わってくる。もし子ども望まなくても、人間関係は常に上位に来るはずだ。子どもができると「子どものために生きる」と感じる人は多く、やりたいことの優先順位を下げる。周りを見ても、本人はそれで満足しているようだ。
人生は長い。労働は一部。優先順位が変わることは当然なので自分の状況に合わせて会社に残るか変わるか考えていきたい。