仕事を辞めたい。働くのが辛い。こう感じるのは組織的な問題による場合もあります。

ここから先は会社の中。つまり組織的に問題があるケースを考えていきます。

原因はあなたではなく、会社組織にあるのです。

・教育をしない組織

・仕事ができる者だけ残れば良いという考え方

・背中を見て学ばせる社風

・教育ではなく選別

・選別された者も教育しないループ

・教育をしない組織

仕事を行うにはさまざまな知識が必要です。

専門分野の仕事であれば前職の知識や経験も専門知識として活用できます。

しかし、会社で業務を行うというにはその会社独自のルールを知らなければなりません。

新卒で入った場合には専門知識+会社知識の両方が必要とされます。

このどちらも教育して身に付けさせることで、いち早く仕事ができるようになります。

ところが会社によっては教育をしないところもあります。

よくあるタイプとしては「わからないところは質問してね〜」と言って、放置させるやり方です。

そもそも業務の流れや必要性がわからないと何をやっていいのかわかりません。

また、他部門の人や社外の人に仕事をお願いするケースも出てきます。

他の人に説明する場合には、当然ですが仕事をお願いする理由の説明責任が発生します。

例えば、経理の仕事をしていて営業部の人の伝票が間違っていたとします。

訂正を依頼するにも、「どこがどう間違っていたのか?」だけでなく「いつまでに何を訂正すれば良いのか?」「訂正しなかったら具体的にどうなるのか?」など説明する必要が出てきます。

こういった質問が出てきてから先輩に指導を仰ぐと、自分だけでなく仕事を依頼した相手にも効率が悪い業務依頼(時間の無駄が発生)をしてしまうことになります。

それでも、出たとこ勝負で教育をしない上司や先輩。組織全体としてこのスタイルを貫いている会社も残念ながら多いです。

・仕事ができる者だけ残れば良いという考え方

どうしてこのように教育をしない組織があるのでしょうか。

理由は種々ありますが、根底に「仕事のできる者だけ残れば良い」という考えがある組織は教育しません。言い換えると教育コストを出し渋ります。

仕事のできるできないは正直にいってしまうと、入社してしばらくするとわかります。

どれだけ主体的に仕事を進められるか。正しい論理に基づいて仕事ができているか、など色んな項目がありますが仕事のできるできないは本人の能力によることが多いです。

体感からすると、仕事の出来については8割が能力で残り2割が教育によるものだと感じています。

もちろん、教育で大きく伸びる人もいますが「急に仕事ができるようになった」人よりも「最初からセンスが良くて仕事の出来が良かった」という人の方が多いです。

教育の効果が2割しかない。こう考えると教育コストを出し渋る会社の理由もわかる気がします。(といっても会社として2割の底上げができれば業績は大きく変わるはずですが・・・)

しかし、実際に教育にあたる人(インストラクターや指導係の先輩)としては目の前にいる新人に教えても伸びない場合、教育を放棄したくなります。

効果が見えないことによる教育の放棄です。

また、もし新人が仕事のできないまま成長してしまうと、会社として能力のない人に給与を支払い続けることになります。

会社からすると、割りに合わない人件費にお金を取られる(取られ続ける)こととなります。

このように教育してもうまくいかなかった場合には、先輩と後輩というミクロな関係だけでなく、会社と労働者というマクロな関係からも教育を放棄したくなるのです。

・背中を見て学ばせる社風

令和になりましたがいまだに昭和的な社風のままでいる会社もあります。

こういった会社は、仕事=背中を見て学ぶものという認識が根深く残っているケースがあります。

師弟制度なのか?どれだけ古い考え方なんだ・・・と思う方もいると思いますが、残念ながらこう考える人は結構います。

特に今の40代以上の上司や先輩は自分自身が背中を見て学んできたため、部下や後輩に丁寧に教える必要はないと考えています。

当時としては、今とは環境が異なっておりPCが全員に普及していなかったため業務効率が悪かったこと。労働時間も長かったため、今よりものんびりと仕事をしていたこと。など環境の違いがありました。

しかし、現代は仕事を進める環境が整っており、新人だからといって長時間実務教育に割く充てる時間も多くはありません。

教育をしながら業務効率化をしなければならない。教育を受ける側としても残業はできないが、仕事を終わらせつつ成長しなければならない。

このように仕事を教える側も学ぶ側も効率化が求められています。

そこで都合が良くなるがこの「背中を見て学ばせる社風」という割り切りです。

できる新人は最初からできる!という考えのもと、ろくに仕事を教えないで実務にあたらせます。

先輩社員からすると、教える時間を削減できるため自分の仕事に集中できます。

自分の業務時間短縮に成功すれば、自身の高評価にも繋がりやすいです。

もし教育をしなかった結果、後輩が育ってくれなかった場合でも「あいつは最初からダメなタイプだ」「教えたことが全然身に付かなかった」などと、後輩を貶める発言をしておけば教育したけど結果が出なかったフリができます。

実際こうしている先輩を何人も見てきましたが、本当に残念です。

・教育ではなく選別

教育をしたくない理由は先に書いた通りです。

これが行き過ぎるとどうなるか?というと成長してくれない後輩に対して、過度に強くあたることになります。

結果として会社に居場所がなくなり、退職してしまう新人も多いです。

仕事の成長が遅い、教育をしたが育ってくれない。

これに加えて、教育の結果を待つほど今の会社に余裕はありません。

できない新人がいたら早く追い出す。外資系ではない日系企業でも追い出し文化を持つ組織があります。それも新卒で入ってから3年以内の若手に対して居場所がなくなるように対応をとっていきます。

「仕事ができないから任せられない」「言ってもミスをするから教えない」これがエスカレートしていって、最終的には部署の中で孤立してしまうこともあります。

・教育をされえていない人が教育をしないという悪循環

このように教育ではなく、選別を続けている会社では残った人たちは教育の必要性がわかりません。

口では教育が必要!というものの、自分たちが背中を見て学んできたため重要性や緊急性がわからないのです。

そのため、目先の業務時間を優先してしまうため教育のための時間が徐々になくなっていくのです。

更に、選別の末に残った人たちなので生存バイアスがかかります。

具体的には「あのとき自力で頑張ったから今の自分がある」などです。他の人に助けられた経験が少ないため、人に頼らず仕事をするもの。誰かに教わるのではなく、自分でなんとかするもの。と考えがちの人が多いです。

ここまでくると教育者として失格です。

教育の重要性を軽視して、自分の経験からも教育をしたことがないし、受けたこともない。

口では教育が大切!と言っても能力がないため何もできないのです。

結果として新人を助ける人がいないため、どんどんキツくなっていくのです。

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